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森下竜一教授

ごあいさつ
Professor: Ryuichi Morishita

世界で始めての遺伝子治療から既に10年の年月が過ぎています。サイエンスフィクションの世界が現実の医療に応用される時代となり、倫理的側面から来る不安と共に多大なる期待を持ちつつ試行錯誤の歴史を経て今日に到って来ています。今日までに遺伝子治療分野は多くの疾患分野にわたり、世界中で4000人以上の患者が何らかの遺伝子治療の臨床試験を受けてきています。先天性疾患を対象としたプロトコールから、HIVなどの感染症、ガンを初めとした後天性疾患に関心が移り、近年生活習慣病を対象としたものへ広がりを見せていますが、未だ確立された医療にはなっていません。ただし、血管再生を利用した遺伝子治療の様に、画期的な治療法になりうる可能性は広く認識され始めています。本当の意味で、患者さんの役に立つ画期的な遺伝子治療法を開発するためには、日常臨床からの要望を認識しながら基礎研究に裏付けられた基盤を創出していくことが求められています。従来の基礎研究だけで終わってしまうことが許されない領域です。昨今耳にするトランスレーショナルリサーチを実践する必要があり、真に患者さんの役に立つ医療を生み出す必要があります。

私達の研究室は、遺伝子治療の臨床応用を主要な目的として第一製薬株式会社よりの寄附講座として2003年3月に臨床系講座として発足いたしました。日本で始めて臨床の名前を冠された遺伝子治療の研究室です。既に、1999年より発足しております遺伝子治療学講座(金田安史教授)とも連携をとりながら、世界に通用する独創的な遺伝子治療を開発・実践することが、最大の目的です。そのために、私達の研究室には、新規の遺伝子治療法を開発するグループ、患者さんに応用できる安全な遺伝子導入法を開発するグループ、実際に開発されたヒト遺伝子治療を臨床現場で推進するグループ、などが活動しています。海外では臨床への応用を主目的とした新しい独創的な遺伝子治療を開発しようとする研究室は多くありますが、国内では始めての試みです。遺伝子治療は、治療という言葉が最後にある以上、常に臨床を意識して基礎研究を行う学問であると考えています。また、多くの患者さんに恩恵をもたらすため、医薬品化を含めて産業への橋渡しも重要な役割を担う学問であるとも思います。その意味では、従来の基礎医学や臨床医学を超えた新しい時代の医学を切り開く役割も担っている分野です。今後、生活習慣病にとどまらず、免疫疾患、がんや遺伝病など、多くの難治性疾患の画期的な治療法を生み出せることを信じて、多くの人達が参加し、自由に斬新なアイデアを生み、自らの力量を試し、患者さんを考えた遺伝子治療のエキスパートとして世界にはばたいてほしいと願っています。新しい学問領域には無限の可能性があります。同じ知的興奮とモチベーションを共有できる研究者に集まっていただきたいと思っています。

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