大阪大学大学院 健康発達医学
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はじめに(バックナンバー)
<平成31年度>

健康発達医学は平成22年4月に大阪大学大学院連合小児発達学研究科の寄附講座、平成27年4月から医学系研究科の寄附講座となり今年でちょうど10年目になります。講座開始と同時に始めた治療ワクチンの研究開発ですが、アンジオテンシンIIを標的とした高血圧ワクチンは共同研究先のアンジェス主導の治験が始まり、平成30年4月から投与が開始されて順調に進んでおります。また、平成31年度には乾癬ワクチンが共同研究先のファンペップ主導で治験が開始され、このように早期探索的な臨床試験まで進めたことは大変素晴らしいことと思います。

さらに国内の共同研究者との共同研究も活発に行っており、様々な疾患治療に向けて治療ワクチンの開発に取り組んでいます。我々の強みを生かした研究として、産学連携体制で新しい治療法の臨床応用を着実に進めながら、常に新しいアイデアを実現できるようにワクチンの基盤技術の改良も継続して行っていきたいと思います。

健康発達医学で実施してきました「新規機能性ペプチドを用いた皮膚潰瘍を対象とした医師主導治験」はすでに企業に導出され、昨年度から企業治験を開始しております。臨床開発に向けた新たな試みとして、今年度から老年・総合内科と共同でNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)の長期的な効果を検討する臨床研究を開始いたします。NMNは細胞内NADの中間代謝産物であり、ワシントン大学の今井先生のこれまでの研究成果から加齢とともに細胞内NADが低下することが生体の様々な機能低下の要因の一つであることが分かってきました。今後、細胞内NADに着目した新たな治療法を今井先生らと一緒に開発していきたいと思います。また、島村先生が主体として開発中に新規機能ペプチドにも様々な多面的な機能があることが分かり、今後の展開が楽しみなプロジェクトです。

個々の力を結集した大きな成果を目指して、本年度も研究活動に邁進したいと思います。

中神 啓徳 大阪大学大学院 医学系研究科
健康発達医学寄附講座教授
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